2023年8月15日火曜日

冷たい水のようだ

友人からいただいたハガキ

 もう呆れ却ってものも言えない。ひさしく家を留守にして、滋賀の生家で日を過ごしたが、冷房の設備も一間だけで、こどもや孫たちと一緒に滞在するには、昔ながらの旧宅ではこの暑さはやりきれなかった(以前なら、たとえそうであっても十分涼しく過ごせたはずなのに)。そして、家に戻って手にしたのが、この暑中見舞い状であった。文面はさらに次のように記されてあった。

 「昨日の夜は突然のドシャブリの雨がふりました。夜に雨戸を閉める時、ミンミン蝉が家に入りました。油蝉はよくみかけますが、ミンミンはその美声をきくのみで姿はみた事はありませんでした。はじめて身近でみました。美しい蝉ですが、よくかけませんでした。堂々とした姿でした。今外にはなしました。空高くとんでいきました。匝瑳(そうさ)にて」

 いっぺんに、涼しさが戻ってきた。そして、同じ頃、私は滋賀の忍術屋敷(甲賀市)でたまたま見かけたトンボを追いかけるのに夢中であったことを思い出した。

 蝉と言い、トンボと言い、実に見事な羽根ぶりだなと思わずにはおれない。そしてその胴体のすばらしさ。「何をくよくよ川端柳」と不平を鳴らす愚か者よ、と主の叱責を身に覚える思いだった。そう言えば、彦根城を孫たち一行と散策中に城山高くトンビが獲物をみつけて交差するかのように飛び交っていた。いち早くそれに気づいた都会育ちの10歳の孫娘は嬉々として飛び跳ねるかのようだった。

 今は辛うじて生態系が秩序を保っている最後かも知れぬ。何とか、脱「沸騰化」の道はないものだろうか。

遠い国からの良い消息は、疲れた人への冷たい水のようだ。(旧約聖書 箴言25章25節)

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