2023年6月2日金曜日

雨降り、あなたは何を思われますか。

水溜り 幼き日想う 嬉しさよ
 学生時代、岡潔の随筆に夢中だった。その彼の随筆集の中でも、『紫の火花』は今も忘れ難い。それは小説家芥川の創作の原点について、岡潔が述べていたことだ。芥川がある時、電線が垂れ下がっていたか、何かで、雨上がり後であったろうか、水溜りのうちに、ショートを起こし、紫の火花を発していた。それを見た芥川が自分はこの美を表現できればそれで満足だ、人生それでもって終わってもいいと思ったそうだ。そのことを数学者である岡潔が痛く感動して自身の生き方と重ねていた。

 ところで、私にとっては二人の天才とは違い、雨降りで当分は部屋に閉じ込めらて、散歩もままならず、庭越しに道路を眺めるしかないが、なぜか心が落ち着く。それは「水溜り」の効用だ。おそらく、小学校一年生ごろの記憶だろう。チューリップや鯉のぼりの姿と同時に、雨が降ると母親が傘を持って迎えに来てくれたのだろうか、言わずと知れた例の童謡を思い出す。

 雨雨、降れ降れ、母さんが
 蛇の目でお迎い 嬉しいな
 ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン

 上のYouTubeを拝見して、歌詞は一番しか覚えていなかったが、そこには単なる一番だけでなく、子どもが他者をいたわる惻隠の情が表現されており、作詞北原白秋と作曲中山晋平のコンビの作品であることを、改めて知った。

何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。これが律法であり預言者です。(新約聖書 マタイの福音書7章12節)

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