赤い薔薇、白い薔薇etc. |
結局亭主は竹べらを持ち出し、打擲にかかった。初発は不成功であった。とかげの尻尾切りに終わってしまったからである(なるほどこれがいわゆる「とかげの尻尾切り」なのだとへんなところで感心している)。でもそのあとは頭上に竹べらを一度二度振り下ろす。その効果はテキメンであった。家人は思わず拍手の思いだったようだ。しかし汚れた床面をきれいに拭き取ったのは家人だが、始末は亭主にしてくれと言う。見るのも嫌だと言う。生理的な嫌悪感が先立つようだ。亭主は家人の言に従い、室内から外に持ち出し、枯れ葉の下に、肢体をおさめてやった。戦い終わって、互いに男女の違いを思い、その労に感謝する。
ところが、今日は今日でまた家人が騒いでいた。金木犀の小枝に蜂の巣をみつけたからだ。スズメバチのようだった。その黒い胴体の姿を見るだけでこれまた生理的に嫌悪感を覚えたようだ。ところが亭主が不在だったので、恐る恐る室内から遠目に覗き見ながら、裁ちバサミを延長して小枝を切り取り、思い切り良く外の道路に投げ飛ばしたそうだ。その直後亭主は帰って来て、その一部始終を聞くことができた。女王蜂は幸い、巣を取りかかった時にはいなかったが、その後、その巣のところへと戻ってきたそうだ。昨日は「とかげ」で、今日は「蜂」だ、明日は何が起こるかわからないと不安そうに語る。ガーデナーとして庭の点検に事欠かない御仁だが、こんなことに怯えている。そこへ行くと亭主はいい気なもんだ。庭にどんな花が咲こうと無頓着である場合が多い。ましてや家人がこんないのちあふるる生活をしているのに手伝い一つしないからである。
きれいな卵が産みつけられている |
この地上には小さいものが四つある。しかし、それは知恵者中の知恵者だ。蟻は力のない種族だが、夏のうちに食糧を確保する。岩だぬきは強くない種族だが、その巣を岩間に設ける。いなごには王はないが、みな隊を組んで出て行く。やもりは手でつかまえることができるが、王の宮殿にいる。(箴言30・24〜28)
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