X'mas tree by Y.K |
今日は、伊勢崎に出かけた。そこには50キロ離れた群馬県板倉町から車で出席されたご夫妻も来ておられた。9月に産まれたばかりの赤ちゃんも一緒で、夫婦揃っての子育ての様子を話してくださった。お聞きするうちに、新生児を育てることの恭しさ、初々しさのようなものを感じ、聖家族に幸あれと祈らざるを得なかった。
と同時に半世紀前に、伊勢崎と同じ沿線の足利に住んでいた頃、イエス様を信じ、新生するに至る一つのきっかけになった一冊の本の存在を思い出すことができた。パスカル著『要約イエス・キリスト伝』である。その前文を以下に書き写す。
ことばは、永遠のむかしから存在していた。ことばは、神の中の神であり、これによって、すべてのものが、見えるもの〔また、見えないもの〕(コロサイ1・16)すらが造られた。そのことばが、人となり、時が満ちて、世にきた。世を救うためであった。世を造ったのはかれであったが、かれは世から受けいれられなかった。しかし、かれを受けいれた者には、かれは、神の子となる力を与えた。それらの人々は、神のみ心によって聖霊により新しく生まれたのであって、人の欲によって肉と血から生まれたのではなかった。(ヨハネ1・1〜9)。
かれは、ご自分の栄光をぬぎすて、しもべのかたちをまとい、人間の中へはいってこられた。そして、死にいたるまで、しかも十字架の死にいたるまで、多くの苦しみの中を通ってこられた(ピリピ2・6〜8)。十字架の上にまで、わたしたちの弱きと病とを負い、ご自分の死によってわたしたちの死をうち破り、たましいを捨てることもとり返すこともできる力を持っておられたから(ヨハネ10・18)、すすんでご自分のたましいをお捨てになったあと、三日目にご自分の力で、よみがえられた。
アダムは、自分によって生まれたすべての者に死をもたらしたが、キリストは、ご自分によってあたらしく生まれたすべての者に、そのあたらしいいのちをお与えになった。そしてさいごに、すべてのものに満ち溢れるために、陰府の底からもろもろの天の上へとのぼり、父なる神の右にすわられた(エペソ4・10)。そこからおいでになって、生きている者と死んだ者とをさばき(2テモテ4・1)、ご自分とひとつからだになった選ばれた者たちを神のふところへ連れもどしてくださるであろう。かれは神とひとつであり、つねに一体をなしておられる。
神のいつくしみが明らかとなり、この大いなることどもが地上に成就されたとき、多くの人々が名のり出て、かれの生涯の物語を書きあらわそうとした(ルカ1・1)。この聖にして聖なる生涯の動きや変化はどんな細部にいたるまでも語り伝えられるにあたいする。しかし、この生涯を書きとめることができるのは、これを生みだしたのと同じ霊の持ち主しかないのであるから(ヨハネ3・6)多くの人々はこのことに成功しなかった。自分自身の霊に従う者であったからである。
そこで神は、イエス・キリストと同時代の人々の中から、四人の聖なる人々を起こされた。この人々は、神の霊感を受けて、イエス・キリストのいわれたこと、なさったことを書きとどめた。この人々はすべてを書きつけたわけではない。もしそんなことをしたとすれば、全世界にも収めきれないほどの冊数を要したであろうから(ヨハネ21・25)。なぜなら、ここには委曲をつくして書きとめておくにあたいしないような動き、行ない、思想はひとつとしてなかったからである。というのは、すべてが父なる神の栄光をあらわすようにし向けられ、聖霊の内なる働きに導かれていたからである。
しかし書かれたものはすべて、わたしたちがイエスは神の子であると信じ、そう信じることによってかれのみ名により永遠のいのちを受けることができるようになるためのものであった(ヨハネ5・24)。
さて、その理由のすべてはどうも明らかではないが、聖なる福音書記者たちが、必ずしも年代順を守らずに書いたものを、わたしたちは今ここで年代順に、すなわち、各福音書記者のひとつびとつの章句を、力弱き身であるわたしたちにできるかぎり、そこに書かれた出来事が起こったとおりの順に組み直してみようとした。
もし読者がこの中に少しでもさいわいなものを見いだされるならば、すべて善なるものを造られた唯一のかたである神に感謝をささげてくださるように。もしわざわいなものを見いだされるならば、わたしの力足りなさゆえと、ゆるしてくださるように。
(パスカル著作集第1巻田辺保訳教文館269頁より引用。私が手にしたのは松浪信三郎氏の訳による人文書院版であったと思う。勤務先の図書館でこの分厚な本の中に納められていた簡潔な文章をひたすら追って行った。読み終えて全く新しくされていた。その時恐らくこの前文は無視して読んでいたと思う。今読んでみて、改めて時代、民族、能力のちがいを越える神様の御愛に心が満たされる。それだけでなく、半世紀前に誰もいないうす暗い図書館の書架からこの重い書物を取り出すことのできた僥倖に感謝し、あわせてパスカルのやさしさに胸が迫る。)
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