2023年5月25日木曜日

おさんどん前の珍事

鴨家族 会之堀川 泳ぎ行く 

 珍しい光景に接した。夕食の買い物帰りに、自転車で走っていたら、川幅わずか二、三メートルの会之堀川の川面が何やら揺れ動く様が見えた。覗き込んでみたら、大きな鴨と子鴨の一団だった。あわてて自転車を降りて撮影に走った。気づいているのは私だけだった。買い物かごの買ったばかりの食品も気になったが、こんな機会はめったにない。上から覗き込んだが、欄干の足元ぎりぎりに泳いでいる。とても撮影できる状況ではない。でも何とか撮りたい。先に自転車を走らせていた同行者の家内にも声をかけたが聞こえないようだった。鴨は私たちの帰る方向と反対側に泳ぎ走り去っていく。

 大変なジレンマであった。買い物籠は気になる。かと言って、買い物籠を死守していては、ますます鴨を逃してしまう。何とか助け舟をと思うが、家内は気づかずドンドン先に行ってしまっている。しかし、程なくして妻は私の不在に気づく。十数メートルほど離れてしまっていたが、身振り手振りで知らせる。今度は二人して家に帰る方向と反対側に自転車を走らせた。このような時は決まって家内が先行する。そして、家内が泳いでいる鴨を、しかも手前でなく、向こう側に沿って泳ぎ去って行く鴨の存在を教えてくれた。

 この写真は十枚程度撮った写真の中の一枚だが、最初に撮った写真は何しろ足元の写真であり、自分の足が写って、鴨は塊としてしかとらえきれていなかったのだが、この写真は向こう側に向きを変えた鴨家族をばっちり撮ることができた。

 親鴨の前を脇目も触れず泳ぎ行く九羽の子鴨、そしてそのあとをしんがりとなって追ってゆく親鴨の姿に生きる力を教えられた。それにしても男親はどこをほっつき歩いているのだろうか。

わたしは、めんどりがひなを翼の下にかばうように、あなたの子らを幾たび集めようとしたことか。それなのに、あなたがたはそれを好まなかった。(新約聖書 ルカの福音書13章34節)

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