2012年4月17日火曜日

ベニテンズの叫び

「しろいすみれもあるよ」と言われて・・・

 ベニテンズはビジネスマンとして成功した男でしたが、35歳の若さで死にました。死の少し前、何人かの隣人が見舞いに来たとき、彼は言いました。

 「友よ。あなたがどんなことを考えているか、わたしは知っています。せっかく仕事がうまくいっている若い人間がこうして死ななければならないのを見るのは、何とあわれなことだろう、とあなたがたは考えています。こういう状況にいる人を、もしわたしが見舞ったならば、わたしもおそらく同じように考えるでしょう。

 「けれども今わたしが思っていることは、そういうあなたがたの考えとはかなり違います。若いうちに死ななければならないこと、商売が軌道に乗りかけたときに死ななければならないことは、あまり苦痛ではありません。あと数時間すれば、わたしは土に葬られるでしょう。そのときわたしは神の御前で永遠に幸せな自分を見出すか、それともあらゆる平安から永遠に突き放されてしまうかの、どちらかです。この二つ以外のものはたとえどんなものであっても、全く取るに足りないくだらないものにすぎない・・・・。ああ、このことを十分に表現することばをわたしは見つけられません。

 「死はこの世の喜びに別れを告げること、だから悲惨なことだと考えがちです。けれどもその死の結果、そのあとどうなるのかが問題なのであって、肉体の死そのものにどんなあわれなこと、恐ろしいことがあるのでしょう。人が死の状態にはいったときに、その状態がどういうものかが重要なんです。それ以外のことはどうでもいいことです。

 「ご承知のようにわたしたちの友ラリーは、パーティーに出かけようとして服を着かけているときに死にました。パーティーが終わるまで生き延びなかったことを彼は今悲しんでいるなどと、考えることができますか。

 「もしわたしが今、神と共なる永遠の喜びの中にはいろうとしているのであれば、あともう少し生き延びて取引を二つ三つ成功させることができないからといって、そんなことを残念がるはずがないではありませんか。またもし失われた魂の仲間に加わることになっているとするならば、財産をたっぷり持った老人として彼らに加わるほうが幸せだなどと考えられるでしょうか。

 「今のわたしと同じくらい死が近づいてきたときには、あなたがたも年齢や財産や地位というものが全く何の意味も持たないことがわかるでしょう。死を迎える部屋がどれほど多くの家具で飾り立てられているかなどが、全く意味を持たないのと同じです。どれほど莫大な世の富を持っていたとしてもそれらを全部捨てて、その代わりに、デボーションと良い働きのために過ごす一年間を手に入れられたらいいのにとわたしは今思っています。

 「わたしは一応は教会に籍を置き、スキャンダルのない生活をしてきました。そのわたしが今このように考えていることをあなたがたはふしぎに思うかもしれません。けれども今まで殺人や姦淫の罪を犯したことがなかったとしか言うことができないならば、それは何と貧しい聖潔でしょう。そしてまさにわたしについて言うことができるのはただそれだけです。

 「商売のことではこれまで知恵をつくして努力してきました。本をたくさん読み、経験豊かで判断力を備えた人たちと喜んで会話を交わしてきました。そのような努力を、なぜわたしはキリスト信仰のほうに向けなかったか、と今は悔やんでいます。最善をつくした末に、人間としての弱さと至らなさを今悲しんでいるのならば、神の恵みを信頼して、謙虚にしかも心安らかに、このベッドに横たわっていることができます。けれども信仰的に成長する努力をわたしは全く怠ってきたのです。それを弱さとか至らなさと呼ぶことがどうしてできるでしょう。」

 そう言いかけたとき、ベニテンズにけいれんが襲いました。そして帰らぬ人となったのです。

(『ウィリアム・ローのキリスト者の聖潔』ウィリアム・ロー著棚瀬多喜雄訳23〜25頁より引用。今日の火曜の学びは、28年前、ベック兄が福音を大切にしている人々の集まりで外部から要請されたメッセージを、今回は集会内のどなたかに要望されて再現されたものだ。その中で幾人かでも主のみもとに人々を連れて来ようとしない信者の怠慢には三つの要因があると言われ、それは人々の霊的状態の認識不足、配慮不足、想像力不足にあると警告された。先ずは上記の「ベニテンズの叫び(霊的状態)」を心から受け止め、悔い改めることから始めたい。「いのちに至る門は小さく、その道は狭く、それを見いだす者はまれです。」新約聖書 マタイ7:14

1 件のコメント:

  1. 本当にその通りです。イエス様ごめんなさい。そしてこの認識不足からたすけてください。そのような罪が知らず知らずに入り込んで私を支配しないように、私を探り調べ、光を当ててください。

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