Jesus & the Lamb(昨日いただいたX'mas カードから) |
グランド将軍※の軍隊といっしょにリッチモンドへ行ったことは私の特権でした。黒人たちが、ヨベルの記念祭を持とうとしていた時のことです。この有色人種は今自由を持とうとしていたのでした。彼らのくさりはとけ落ちて、自由であるという事実に目覚めようとしていました。それは重要なできごとだと思ったので、黒人教会へ行ってみました。そこは南部で最も大きな教会のひとつで、人々がいっぱいでした。北部の黒人牧師が話すことになっていました。わたしはヨーロッパやアメリカで多くの雄弁家が話すのを聞いたことがあります。しかし、この日聞いたほどの雄弁を聞いたことは、あとにも先にもはじめてです。
彼は言いました。「おかあさんがた! きょう喜びなさい。あなたがたは永久に自由なのです! 今まで小さい子どもはあなたの抱きしめた腕の中で涙を流し、どこか遠くの州に売られていったのです。あなたがたの心がこのようなはりさける思いになることはもう決してありません。あなたがたは自由なのです!」婦人たちは両手をたたいて声の限りに叫んでいました。「栄光、神に栄光あれ!」それは婦人たちにとってよい知らせでした。彼女たちはそれを信じました。その知らせは彼女たちを喜びで満たしました。
それから説教者は青年たちに向きなおって言いました。「青年諸君、きょう喜びなさい!今まであなたがたは奴隷監督のむちのうなりのうちに日を送って来ました。あなたがたの子孫は自由にされるでしょう。青年諸君、きょう喜びなさい。あなたがたは永久に自由なのです!」彼らは両手をたたいて叫びました。「神に栄光あれ!」彼らはこのよいおとずれを信じたのでした。
説教者は続けました。「若い婦人たちよ、きょう喜びなさい! 今まであなたがたはせり市に引き出され、売られてきました。あなたがたは自由です—永久に自由です!」。彼女たちはそれを信じ、声をはりあげて叫びました。「神に栄光あれ」わたしはそうした集会に出たのは初めてのことでした。彼らは、それが彼らにとってよい知らせであることを「信じた」のです。
みなさん、これよりももっとよい知らせをあなたがたにお伝えしましょう。黒人は、サタンに仕えている者ほどいやしく邪悪で、また残酷な主人を持っていたのではありません。酒の奴隷になっている人にお話ししましょうか。キリストは杯を投げ捨てる力をあなたに与えてくださいます。あなたを酒に酔わない人にし、愛すべき夫にし、やさしいおとうさんにしてくださいます。そうです。大酒飲みを夫に持つ貧しい奥さん、あなたによい知らせをお伝えしましょう。あなたのご主人はもう一度真人間になれるのです。そして、あなたがた罪人、今まで全く反抗し続けかたくなであったかたがたよ、福音はあなたがたにゆるしのことばを伝えていきます。
神はあなたがたが神と和解されることを望んでおられます。「神に対して和解を受けなさい」。これが神のあなたがたに対するおことばなのです。
(同書10〜11頁より引用。※グランド将軍は南北戦争の北軍の将軍である。今日の話を読んでいて、『アンクル・トムの小屋』のトムが奴隷として売られていく前夜の奥さんのクローとの印象的な会話を思い出した。抄訳だが今年亡くなった丸谷才一の訳で紹介する。
「聖書には書いてあるぜ。むごいことをする者のためにも祈れ、って」
と、アンクル・トムは言った。
「あんなやつらのためにも、祈れだって——」
と、クローおばさんは言って、
「あんまりひどいじゃないか。わたしには、とてもできないよ」
「そう考えるのは自然なことさ。そして、自然というのは強いよ。でも、神さまのお恵みはもっと強いんだ。それに、ああいうことをする人間の魂はどんなにあわれかってことも、考えなくちゃいけない。そういうあわれな人間の魂を、恐ろしいめにあわせるよりは、おれが何万べんでも売られていくほうがましだ」
すでに神の和解を受け入れ(よい知らせを信じて)神さまの恵みに生きていた黒人奴隷トムが、よい知らせを信じないで人非人とも言うべき自分を買おうとしている奴隷商人に対して示す愛のセリフだ。『アンクル・トムの小屋』の著者ストー夫人も、D.L.ムーデーも19世紀の同時代に生きたアメリカ人である。
私は罪ある人間であり、売られて罪の下にある者です。私には、自分のしていることがわかりません。私は自分がしたいと思うことをしているのではなく、自分が憎むことを行なっているからです。私は、ほんとうにみじめな人間です。だれがこの死の、からだから、私を救い出してくれるのでしょうか。私たちの主イエス・キリストのゆえに、ただ神に感謝します。ローマ7・14〜15、24〜25)
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