2013.10.2 新宿センタービルから※ |
ベルリンで静かな日曜日を過ごした後、私たちはモスクワへと急ぎ、ロシア国境の町アレキサンドロポに深夜着きました。ここで旅券や通関の煩雑な手続きを済ませましたが、ロシアの役人のことばが全く理解できない上、あまりの騒々しさに私たちは疲れ果てました。
モスクワでは英国海外聖書協会のニーダーさんが、親切に私たちのめんどうを見た上、市内を案内してくれました。クレムリン宮殿、ナポレオン戦争の戦利品の大砲の列、博物館、陽に輝く教会の金色の尖塔など、みな興味深いものです。しかし、アテネでパウロが感じた心の憤りを(使徒17・16、17)、私たちはここで体験しました。悲しくも意味のない迷信が至る所で見られ、頭を垂れ、十字を切り、聖画に口づけし、遺物を礼拝する人々の姿が、私たちの目に悲しく映りました。
教会は、市場と何の変わりもありません。案内人たちはチップをもらうために、教会の特別礼拝を執拗に勧めるのです。
(中略)
五月十二日(ハルビン)
私たちは、数ヶ月前伊藤公爵が暗殺されたプラットホームの現場を見ました。伊藤公は偉大な人物ではあったが、悲しいことに神とは全く無縁の人でした。その上、うわさによれば道徳性についても問題があるとのことです。されば、地上の偉大なる者よ去れ。有能な政治家として彼が見事に統治した日本と朝鮮にとっては、彼の死は大きな損失です。しかし「天の万象は焼けて崩れ去り」、義だけが住む天と地とを神が創造される日、彼にとっても、その国民にとっても、彼のしたことはいったい何の役に立つというのでしょう。
五月十七日(日本・敦賀)
シベリアのまだ春を迎えない森林の中を、十日間の旅を続けて来た目には、日本の山の緑滴る景色は美しいものでした。一つの詩が私の心に浮かびました。
アジアの沖、大洋のただ中に、
不思議に美しく輝く島国が横たわる。
アジアの山々に日の光が届く前に、
日本の島には朝日が照り輝く。
日の出の輝きを最初に捕らえる、
朝の島、美しい日本。
美しい日本、美しい日本。
朝の島、美しい日本。
美しい日本、美しい日本。
ただキリストだけがあなたを救うことができる、
美しい日本よ。
一年半前、私が敦賀からウラジオストックへ渡ったとき、三十六時間の予定が三十時間も遅れ、船は台風にあってスクリューが折れ、安全に陸地に着けるとは思えませんでした。しかし今度は、日本海は湖水のように静かでした。神よ、私たちはあなたのみ恵みをたたえます。
あなたは荒れ狂う海に命じ、
海の面を静められる。
あなたは眠っている海を逆巻かせ、
逆巻く海を眠らせる。
(『パゼット・ウィルクスの日本伝道日記』安倍赳夫訳1978年刊20〜25頁より抜粋引用。宣教師パゼット・ウィルクスは1897年から7度日本にやって来たが、これは1910年ロンドン、ベルリン、モスクワを経由してきた時のものであり、同書はその二年三ヶ月の日記である。※昨日は関東地区で虹が各所で見られた。ダブルレインボウも見られたと言う。わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それはわたしと地との間の契約のしるしとなる。創世記9・13)
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