2022年7月25日月曜日

弟子たちは驚いた

イエスは言われた。「裕福な者が神の国にはいることは、何とむずかしいことでしょう。」弟子たちは、イエスのことばに驚いた。(マルコ10・23〜24)

 元来ユダヤ人は一般に富ある者を神に祝された者と考えていた。アブラハムからソロモンなどに至るまで富める者が信仰の手本のように扱われていた。ヨブ記はこれに対して大いなる疑問の矢を放ったが、それすら最後に二倍の富が与えられて解決している。

 イエスは在来のこの思想を転倒して『貧しい者は幸いです』と叫び、また富者の足下に置かれた乞食のラザロが天国に入り、富者自身は地獄の火に苦しむと説かれた。が、この新しい思想は容易に弟子らの心に入らなかった。彼らは今もなお在来の富者祝福説に囚われていた。だから驚いたのである。

 私たちの教えられて来た所にも、恒産なき者は恒心なし、とか衣食足って礼節を知る、とか言ったような思想が多分にある。パンを先にする思想は昔のユダヤ人も今の私たちもあまり変わらない。

祈祷
ああ主イエス様、あなたが『貧しい者』を祝し給いてより二千年にして『富』はますます暴威を振るい、今や神の位に坐せんとしつつあります。願わくは、私たちをしてその欺きに迷わされることなく『世の宝』をあなたの位の前に跪座せしむる者とならせて下さい。アーメン

(以上の文章は『一日一文マルコ伝霊解』青木澄十郎著206頁より参考引用し、題名は引用者が便宜的につけた。)

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