2010年11月16日火曜日

食卓の交わり

(食卓の華 原題は「ケーキ大集合」 by Y.Oku)
昨日に続いて土曜日に出会った人のことを少し書きたい。その方は私より、何歳か年上の方で、かつてキャンプでお見受けしたような記憶もあるが、ほとんど未知の方であった。たまたまその土曜日はワーキングキャンプと称して、いつもは持たれる福音集会がやめになり、朝から多くの方と一緒に書籍をセンター内に運ぶ作業に従事した。集会発行の本を今まで別の倉庫に保管していたが、保管料も馬鹿にならない。何よりも折角の書籍が死蔵化してしまっている。それを改善するための作業であった。皆で協力して老いも若きも男も女も掛け声かけて楽しく作業をした。私はその時その方と一緒に作業する機会がたくさんあった。そのうちお互いに打ち解けて名乗りあうようになった。お聞きすると私の良く知っているお嬢さんのお父さんであることが判明した。

どんな場合もそうだが、ともに汗を流すというのは体を通して互いが自然と一体化することになるのであろうか。その方は私より一回りも大きい方で体格の立派な方であったが、私が作業を通して今までにない親しみを感じたのは言うまでもない。午後は召された4人の方の納骨記念会が行なわれ、その中では聖書からのメッセージがあり、ピアノ演奏も披露され(バッハ作曲のパルティータ)遺族の方がそれぞれ率直に証された祝福の一時であった。

午前の体を動かす作業、午後は聖書のみことばに耳を傾ける集会。霊肉満たされた時を終え、再び昨晩と同じ夕食の時がやってきた。私は迷わず昼間一緒に行動する方のお隣に座らせてもらった。食卓に食事が用意されるのを待つ間、しばしその方との座談を楽しんだ。その方にリタイア以前のお仕事をお聞きすることもできた。お聞きして、とある企業であることを知った。そして確か高校の同級生がその企業に勤めていたのを思い出した。その彼とは高校時代は一度も一緒のクラスにならず、面識もなかったが東京の同窓会で一二度会ったことのある間柄であった。ところが名前がトンと思い出せないのだ。その友人のことを聞こうとするのだが名前がわからないのでは話にならない。それでも何となく私と同じ姓じゃないかと思い、申し上げたがもちろん私の姓はどこにでもある平凡な苗字で、その方も、名前がわからないとさすがにわからないと言われる。

ところが、その方と話しているうちに入社年がそんなに変わらないことを知るようになり、私も真剣に何とか思い出そうとした。手元にある携帯電話で別の友人に聞くことにした。ところが生憎不在である。万事休する思いだった。しかし思い切って誰かその苗字でほぼ同期の方は知りませんか、と申し上げた。その方は人事の担当もされたことがあったようで、そこまで言われればと人事担当の沽券に関わるとばかり思い出してくださった。そのうち○○○○○○さんならいましたよ、と言われた。何とそれこそ私の姓名だった。その瞬間、私も確信し、「そう、その○○○○○○ですよ」、と思わず言っていた。その方はびっくりされたに違いない。それにはわけがある。

実は今から50数年前のことだ。高校入学の呼名の時のことだ。念願の高校に入ったのだから嬉しかった。私の在籍クラスは1年6組であった。呼名があったら、「ハイ」と大きく答えようと私は待ち構えていた。ところが6組の呼名がなされる前に、すでに3組あたりで、私の名前が呼ばれたのだ。これには慌てさせられた。そそっかしい私だから、てっきり並ぶ列を間違えたと思った。ところが、まさしく6組でも私の名前が呼ばれたのだ。ほっとしたが、もう一人同姓同名の人がいるとその時初めて知った。でもそれ以来その人とは一緒になることもなく、そんなことも忘れてしまっていた。卒業して何年か後に同窓会名簿を見るといやでも私たちは前後に並んで表示される。そういうわけで私がその同級生の職場を知っていたというわけだ。

こうなるとお互いの話は一気に盛り上がる。同君がどういう人であるか、その人自身が私よりも良く知っておられる。そして名前は正真正銘の「私」である。目の前にいる同姓同名の人と一緒にいるのはその人にとって奇妙な感じがしたと思うが、はるばる出かけてきたこの「喜びの集い」での私たちの奇遇は、二人してし主なる神様の粋な配剤と感嘆せざるを得なかった。まだその方はイエス様を信じておられない。しかしこの交わりの背後には主のご計画があるにちがいない。昨晩に続く恵みである。喜びの集い二日目のこの後の夜の集会は尊敬する兄弟が今度は話をされた。このときもまた一際祝福された集いであったことは言うまでもない。

だが、今、ヤコブよ。あなたを造り出した方、はこう仰せられる。イスラエルよ。あなたを形造った方、はこう仰せられる。「恐れるな。わたしがあなたを贖ったのだ。わたしはあなたの名を呼んだ。あなたはわたしのもの。(旧約聖書 イザヤ43:1)

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