2010年12月29日水曜日

新しい障子紙

山茱茰(さんしゅゆ) 障子紙に 影落とす
このところ連日関東は晴天に恵まれている。気温も平年よりずっと高めであろう。随分過ごしやすい今年の冬になっている。しかし、この晴天の裏には必ず裏日本の積雪があることを思う。脊梁のように流れる山脈のせいだ。そして裏日本の厳しい寒さを想像する。わが故郷の滋賀の湖東地方は微妙な場所にはあるが、一面この裏日本の冬を共有する。私の心はいつしかはるか故郷の曇天・雪空に飛び、自然と二様の冬を反芻している。

しかし、このありがたい関東の暖に誘われて、昨日は数年ぶりに障子の張替えを思い立った。家を新築してかれこれ15、6年は経つ。その間、一回張替えをしただけだ。正確には次男がしたのであって私がしたのではなかった。それ以来、黄ばんできたり、穴が空いたりして気にはなっていたが面倒くさいのでほったらかしにしておいた。

ここ数日長男が帰っているので、思い切って彼の助けも借りて互いの気晴らしにと張替えをした。普段は駐車場にしているところに4枚の障子を立てかけ、水道の水をホースで思い切りかけ、障子紙のはがしにかかる。戸外は連日の暖かさで、その作業も苦にならない。生家ではまずこのような冬の暖かさは期待できないのに・・・。

時間を置き、最初は戸外で、後には室内に移り、作業をした。もう何十年ぶりの作業だろうか。家内をふくめ三人で張替えをした。たった4枚の障子紙の張替えだったが、それでも3時間前後はかかった。出来栄えは4枚それぞれちがい、よくできたものもあれば失敗作も出る始末だった。それでも親子三人で作業する楽しさを充分味わわせてもらった。

第一、家の中がぐっと明るくなった思いがする。欧米人にはこの醍醐味はわからないであろう。紙と木によるつつましやかな文化のおかげである。新建材のプレハブ住宅である我が家に一間だけ和室がある。その名目のような部屋にこれまた見せかけのような障子があるとばかり思っていたが、こうしてみると中々どうしてありがたいものだ。生家も継母が召される直前に張替えをしたのだからやはりかれこれ10数年以上は経っている。こちらは伝統的な日本家屋であるのでより味わいは深いことだろう。来年の1月に帰省したおりに挑戦したいと思うが、果たして天候が許すだろうか。

山茱茰(さんしゅゆ) 芽生えし春に 張替えか

だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。これらのことはすべて、神から出ているのです。(2コリント5:17~18)

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