2012年2月9日木曜日

『聖戦』第1章 人霊の都

エルストウ村のバンヤンの家(1955年版『恩寵』より)
今日から適宜『聖戦』の梗概を示す。編成は三部に分け最初に英文サイトの梗概を示し、次にその太字に当たる部分の中核になる雲舟氏の訳文を写し、最後に引用者の感想を記す方式である。

霊王の統治下にある人霊の都の原初的な素晴らしさと美しさその気高き城の叙述五つの門—町に住める人々の完璧さ—魔王の起こり—彼の誇りと堕落—人霊の町をだましてものにする最善の手段を議する戦の会議—魔王、町に進軍し耳門の前に座す—魔王の演説—抵抗将軍殺害される—無垢氏殺される—町は奪取される]

 さて宇宙のこの大きい国に美しい立派な市(まち)があって、人霊と呼ばれていた。その市の建物は奇妙であった。その位置は大変都合好く、その特徴は大変便利な点にあった。と言うのは、その起源に関したことで、前にも言ったごとく、その大陸のある位置は、天地間に類がないほどであるからだ。

 この市の位置はといえば、ちょうど二つの世界の間にあった。その最初の創立者で設計者は、私が集むることの出来た最も善い確実な記録によれば、一人の霊王であった。彼は自分の歓楽(たのしみ)にこれを創立した。彼は今までこしらえた物の中の亀鑑(かがみ)となり、栄光となるようにこれをこしらえた。彼がその国でこしらえたいろいろな物のうちの傑作であった。然り、人霊がどれほど善い市かといえば、その初め出来あがった時の創立式に、神々がくだって来てそれ を見て祝いの歌をうたったと言われるほどである。外観(ながめ)も佳いし、国中を治めるにも都合が好かった。

 この市の真中に、最も有名な荘厳な宮殿が建てられた。堅固なので城とも言える。愉快な所なので浄楽園(パラダイス)とも言える。宏大なので全世界を保つほど豊かな所とも言え る。霊王がこの場所を設計したのは自分のためなので他人のためではなかった。自分の歓楽(たのしみ)に建てたので、市の中に他人の侵入することを好まれなかった。霊王はまたこの場所に兵営をこしらえて、市民だけにそれを守ることをゆだねられた。

 この有名な人霊の都には、出入りに五つの門があった。これはまた壁に適当なようにこしらえられた。要心堅固で、内部から開けたいと思うか、開けることを許さねば、開けることも強いることも出来なかった。門の名は次のようである。耳門、眼門、口門、鼻門、感覚門。

 このような人霊の都が魔王の詐術の手に落ちて、町は開城される。魔王の耳門の演説に人霊がそそのかされてのことであった。その陥落はまことにあわれなものであった。明らかに創世記の初めのアダム・エヴアの堕落が意識されての創作である。訳者の雲舟氏は解説の中で、五感のうち「耳」がどうしてそんなに大切なのだろうか、「目」じゃないかと自説を展開しているが、考えてみるとやはり聖書は「耳」のようだ。よって「耳門」の攻防が聖戦の中心舞台である。耳に関するみことばをいくつか列挙した。

を植えつけられた方が、お聞きにならないだろうか。(旧約聖書 詩篇94:9)

見よ。聞き従うことは、いけにえにまさり、を傾けることは、雄羊の脂肪にまさる。(1サムエル15:22)

あなたは、いけにえや穀物のささげ物をお喜びにはなりませんでした。あなたは私の耳を開いてくださいました。(詩篇40:6)

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