2012年2月19日日曜日

『聖戦』第3章 霊王と王子との活動

[革命の報せが霊王の宮廷に届けられた—霊王の謀反に対する大きな怒り—人霊を回復せんとする恩寵ある企て—これをほのめかすいくつかのものが公告される—魔王の人霊を抑圧するための苦慮—魔王の市(まち)を保持し霊王の手に戻さないための策略]

 この報告者はひそかにこれを告げたのではない。霊王と王子、諸候将軍貴族の列席せる大広間で物語ったのだ。満座その物語をすっかり聴いて愕然色を失った。 有名なる人霊の占領を痛み悔い恨むのであった。ただ霊王と王子とは久しき以前からこれを先見していられた。誰にも言ったことはないが、ひそかに人霊回復の 準備がしてあった。霊王と王子はもちろん人霊を失ったことを非常に嘆かれた。霊王は心から悲しいと明らかに言われた。王子も同様に悲しまれた。そのいかに 有名な人霊市を愛しこれを憐れんでいられたかは満座の認むるところとなった。

 霊王と王子はその居間に戻られてから、かつて計画しておいたことを再び相談された。それは人霊が一度失われても、確かにまた回復されるというのだ。その回復によって霊王と王子は永遠の名声と栄光とを獲られるのである。この相談で王子は父と手打ちして、父の決心に同意し、自ら人霊回復の任にあたって悔いざることを約束した。(王子は快活な優美な人柄であって、悩みある者に大いなる愛情を持っていた。魔王に対しては心からこれを憎んでおられたが、それは魔王がその冠と権威とを獲ようと企てたからである)。相談の結果はこうすることになった。すなわちある時を定めて、王子が宇宙のその国に旅行して、正義と公平の途によって、愚かなる人霊を矯正する。そして魔王の圧制から人霊を完く救済する土台を置くというにあった。

 加うるに王子イムマヌエルは好い時を見計らって巨人魔王が人霊市を占領している間にこれと一戦せんことを決心された。そして立派に兵力によって魔王の城砦からまたその巣窟からこれを追い出して人霊をおのが求むる住居にしようとされた。※1

 かような決心をされたので、秘書官長に命令を発して決議の条々を立派に記して、これを宇宙の王国の隅々までも公にさせられた。その文意は次のようである。※2

「衆人をして知らしめよ。大いなる王子はその父と盟約して人霊の回復をなすべきことを。人霊はその無双の愛の力によって、魔王に占領されし前よりも遥かに善き幸福なる状態に置かるべきことを」

 この公告は諸方に発せられたので、暴君たる魔王は少なからず頭を悩ました。彼は心に想った。
「困ったことである。我が住居はいつか奪われるであろう。」

 英文サイトには上述の※1の欄外にはBy the Holy Ghost(聖霊による)、※2の欄外にはThe Holy Scriptures(聖書)と記入してある。いずれもバンヤンの意図するところが明瞭である。それだけでなく聖書がどういうものか、聖霊がどんなお方で あるかバンヤンは筆を尽して風刺のうちにわかりやすく表現しているのに驚かされる。

 彼のこのような作品の背景に彼が主に出会うまでのたましいの遍歴があることを思う。ひとりひとりの人生はたとえ端から見てどんなに汚れて堕落しているように見えても、上なる神様の御覚えのうちにあることを今日の箇所を通して覚えたい。

今、主は仰せられる。――主はヤコブをご自分のもとに帰らせ、イスラエルをご自分のもとに集めるために、私が母の胎内にいる時、私をご自分のしもべとして造られた。私は主に尊ばれ、私の神は私の力となられた。――( 旧約聖書 イザヤ49:5)

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