2012年12月21日金曜日

失われた羊を尋ねて(7)

自由の福音

誰でもそれを持つことができます。「このよい知らせは誰のためですか」と尋ねる必要はありません。それはあなたのためです。そのために、キリストの言われたことばを知りたいなら、わたしといっしょに来て、エルサレムにおいて、でしたちと別れのあいさつをしている光景をごらんなさい。

カルバリは非常な恐怖の思い出と共にキリストの背後にあります。ゲッセマネは過ぎ去りました。ピラトの審きの広間もそうです。キリストはすでに墓を通り過ぎ、み父の右にすわろうとされています。彼のまわりにはでしたちの小さな一群がおります。この小さな教会を残して、キリストのあかしをさせようとしておられるのです。お別れの時が来ました。

彼らに向かって、いくつかの”最後のことば”を言おうとされています。こうした終わりの瞬間に、ご自身のことを考えておられるのでしょうか。彼を待っている王座と、彼を天に喜び迎えられる御父のほほえみについて考えておられるのでしょうか。過ぎ去った光景を思い起こしておられるのでしょうか。あるいは、悲しそうなでしたちのことを考えておられるのでしょうか。

いいえ、彼は「あなた」のことを考えておられるのです。あなたは彼を愛した人々のことを考えておられると想像されたかもしれません。そうではありません。罪人よ、彼はその時、あなたのことを考えられたのです。彼は彼の敵のこと、すなわち彼を嫌った者、彼を軽べつした者、彼を殺した者のことをお考えになったのです。彼は、どうしたら彼らのために、より以上のことをしてやれるかお考えになったのです。

彼は、彼を憎む者のこと、彼の福音を少しも受けようとしない人のこと、あまり話しがうますぎてうそだというような人のこと、彼は自分たちのために死なれたのではないのだと言いわけするような人のことを考えておられたのです。それから、でしたちのほうを向かれ、あわれみにあふれた顔を向けて言われました。

”全世界”に出て行って”すべての造られたものに”福音を宣べ伝えよ」。「すべての造られたものに」ということばが、彼の最後のおことばでした。

ペテロが次のように言っているのが想像できるような気がします。
「主よ、あなたは”すべての”造られたものに福音を宣べ伝えよと、ほんとうにおっしゃるのですか」
「そのとおりです。ペテロよ」
「わたしたちはエルサレムに帰って、あなたを殺したエルサレムの罪人たちに福音を語るのですか」

「そのとおりです。ペテロよ、帰って、上からの力を授けられるまで、そこにとどまっていなさい。第一に彼らに福音を与えなさい。行って、わたしの顔につばきをした者をさがしなさい。わたしはゆるすと告げなさい。わたしの心の中には、彼に対して愛のほか何もないと。わたしのひたいにとげの冠をおいた者をさがしなさい。救いを受けいれるなら、あなたのために天国に冠を用意しようと告げてあげなさい。その冠にはとげはない。そして彼はそれをあがない主のみ国で永遠にかむり続けるだろう。わたしの手からアシの茎をとってわたしの頭を打ち、とげをひたいに深く刺した者を見つけなさい。彼が救いを賜物として受け入れるなら、わたしは彼に王位を与え、地上の諸民族を支配させよう。わたしといっしょに王座にすわらせよう。行って、わたしを平手で打った者を求めなさい。そして、福音を語ってやりなさい。イエス・キリストの血はすべての罪からきよめる。わたしの血はあなたのために惜しみなく流されたのだと告げなさい。行ってわたしのわきに槍を刺したあのかわいそうな兵隊をさがし出しなさい。わたしはその兵隊を惜しみなくゆるそう。そして、あなたを十字架の兵士にしよう。あなたがたてるわたしの旗は愛なのだと告げなさい」

(同書14〜16頁より引用。)

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