年少の友が闘病中の方に進呈された油絵 (画面上の左上の白線は蛍光灯の反射) |
私も召された方とはお元気な時に二、三度ご一緒に食事をさせていただき、親しいお交わりをいただいたことがあった。昨年にはご主人が先に天に召された。相次いで天に住まいを移された方のご葬儀であった。
私は仲の良かったお二人の姉妹に月並みとは言え、お妹さんお姉さんが(三人姉妹の真ん中の方であったので)召されてお寂しいでしょうね、と申し上げたら、「いいえ、ちっともさびしくありませんよ。私たちもすぐに行きますから」と屈託なく笑顔で答えてくださった。こんな会話は恐らく主を信じておられない方には不可解に映ることであろう。
しかし、それもこれも死を超越される「わたしは、よみがえりです。いのちです。」とおっしゃるイエスのなせる奇跡の一つではないだろうか。イエスという方がどんな方であるかは四つの福音書が丹念に記録している。先日ある方が談たまたまお坊さんはお経を読むけれどその意味がどんなものか信者は知る必要があるのではないか、それも知らないで闇雲に信心しているのはどうかと思うと言われた。全くもってその通りだと思う。そこへいくと、聖書信仰は全くそれとは異なり、じっくり書かれていることを読み、自らの立場を鮮明にする(ある場合には自らの罪があぶりだされる)ことにある。この上は、イエスの存在を否定する方が是非直接聖書をひも解いて自らの目でイエスを判断されればどんなに素晴らしいことかと思わずにはおれない。
昨日述べたようなことが一私事であり、私一人のお粗末な生活内容であるのなら良い。しかしイエスは人の心を全部見抜いておられる方である。その方が人は「悪い者」だと言われることだから、大なり小なり人の心には自我が渦巻いており、利己的であることはどんな立派な方も否定はなさらないのではなかろうか。問題は人がイエスという方をどのように見るかである。続いて語るハレスビーの言に耳を傾けていただきたい。
「あなたが、今新しい目をもって見ておられることは、イエスがその全生涯の中で、他の人々にしてもらいたいと思うことをその人々になさったということであります。イエスはその全生涯の中で、実際このことに生き抜かれたのです(※1)。イエスはこれを行ないたもうたのでした。そのことについて語られただけではなかったのです。
イエスは、歴史に知られている最も気高い人物であることを、あなたは以前から知っておられました。だが、そのことは実際あなたにさほどの印象を与えなかったのです。他面、今あなたはイエスのこの面を評価する道徳的資格をもっておられます。(中略)
あなたご自身が、人にしてもらいたいと思うことをその人々にしてやろうとして、ただの一日だけでもそうすることに成功しなかったとき、あなたはこう自問なさる、『結局、全生涯を通じてこのようなこと自体を—そのほかに生き方がないかのように、一つの踏みはずしも誤りもしないで、自然に、また、あたりまえのようにすることができたイエスは何者であったか』と。
あなたは今、イエスの人格の中で奇跡的なものを経験なさる内的資格をもっておられるのです。イエスの真に奇跡的な面、真に超越的な面は、絶対善の彼の心であります。ここにあなたは、超自然的なもの、絶対的なものと顔を合わせられるのです。あなたは、私どもの宇宙におけるいちばん類のない奇跡について、内的な直接的な確証を所有しておられるのです。(中略)
いつかはフィンマーケン(※2)の果てにすわっていながら、オスロ—の教会で守られている礼拝を聞くことができるだろうと、一世代前にだれかが言ったとしますれば、そのようなことは道理に合わないし考えられないと言ったでありましょう。今日では、それが不可能などとは何人も言わないのです。
私どもの心は、基礎となる経験をもたない間は万事考えられないものを宣言することは強要せられるように感じるものです。しかし、私どもの心が事実を経験するとすぐさま、私どもの知的な基礎全体が変えられて、矛盾と不合理性とが消え去るのです。(中略)
根本的であるイエスの奇跡的な面、つまりイエスの内的なものは、私ども皆の内的なものとは異なっていること、イエスはご自身の倫理的性質によれば、他の全部の人々とは本質的に異なっているということをあなたが経験なさったなら、イエスの生涯と人格の他の奇跡的な面について新しい立場に達したのです。」(『私はなぜキリスト者であるか』23〜27頁より飛び飛び引用)
(※1聖書を読みますとイエスが全く私心のなかったことが判明します。「子は、父がしておられることを見て行なう以外には、自分からは何事も行なうことができません。父がなさることは何でも、子も同様に行なうのです」ヨハネ5・19とイエス様は言われました、だから人にできないことがイエス様はできたのです。※2フィンマーケンhttp://www8.ocn.ne.jp/~hatt/norway_rel96.jpgはノルウエーの北極圏に属する地方名です。ハレスビーは1879年生まれ1961年没のノルウエー人です)
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